ようこそ、裏側へ。
……おっと、見つかってしまいましたね。
「表」があるということは、かならず「裏」もあります。
「表」は株式会社Lucky Brothers & co.のサイト。 「自分たちのサイトに、どうしてもイラストを描いてほしい」。 そんな思いで、お笑い芸人・イラストレーターのネゴシックスさんにご協力いただき、このサイトは生まれました。 会社のすべてが、ここに詰まっています。
そして、ここは「裏」。 ここを見つけたとてもラッキーなあなたに、このサイトの「裏側」をお見せします。 どうぞ、こっそりとお楽しみください。
2016年8月
イラストは、すべて
キャンバスに絵の具で描いたもの。
田島:今日は、僕らが作った「株式会社Lucky Brothers & co. のサイト」について、イラストを描いてくださったネゴシックスさんと一緒に、あれやこれやを語りたいと思いまして。
ネゴ:おぉ、いいですね。楽しみです。
田島:今回作ったサイト内のイラストは、キャンバスに絵の具で描かれた絵をそのまま使っています。Webサイトに、こういった素材を使うのは初めてだったので少し不安だったんですが、実際にやってみると思いの外うまくいきましたね。(笑)
サイト全体の雰囲気は、会社名の「Lucky Brothers & co.」に合うような、ポップな感じに仕上げてみました。「なんだか楽しそうな会社」というニュアンスが伝わってくれればなあ、と。
ネゴ:おぉ、知らぬ間にすごくいい感じになってる!(笑)
田島:素材は、ネゴシックスさんに直接原画を送っていただいたので、それをカメラで撮影して加工しています。
ネゴ:へぇー。サイトで見てもだいぶアナログ感が残ってるよね。
田島:このアナログ感、いいですよねぇ。 PCやスマホの画面で見ても、手描き感がしっかり表現されていると思います。
ネゴ:こういう雰囲気のウェブサイトは珍しいよね。……あれ、よく見ると、なんか文字がにょろにょろ動いてる。(笑)
田島:サイトのトップページやこの「裏側」の背景に、ラッキーなツイート(“Lucky”という文字列を含むツイート)をプログラムでリアルタイムに収集して背景に流す、という小ネタも入れてみました。 小ネタといえば他にも、ページ遷移時のローディング画面に「ラッキーな物事」をモチーフにしたGIFアニメを使っています。
(※さらに色んな種類があります)
ネゴ:おぉ〜!こんなふうに使われるんですね。
田島:そういえば、トップページにも「四つ葉のクローバー」や「ギザ10」など、ラッキーなアイテムをネゴシックスさんの方で描き足してくれてましたよね。 あれは特に事前にお伝えしていなかったのですが、このサイトで作りたい雰囲気を自然に汲みとってくれているなと感じて嬉しかったですね。
下津曲:たしかに。まず、僕らが驚いたもんね。「あっ、部屋にギザ10落ちてる!」って。(笑) あと、実際こういうオフィスがあったら最高だなぁ、と。
ネゴ:僕は、天井から床まで全面ガラス張りになっている部屋が好きなんだよね。飛び出していけるような感じがして。だから、この部屋もそういう造りにしてる。 あと、西海岸風のスタイルや家具が好きなんだけど、このサイト内のキャラが座っている椅子とか床のテイストもそういう雰囲気にしています。このイラストでみんなが座ってる「イームズチェア」って1950年代に作られてからバージョンアップしてないんだよね。なのに「変な形」ということで未だに売れ続けてる。そこがすごく好きで。
田島:へぇ! そんなに昔から変わってないんですね!
ネゴ:そう。そのときにピークを出しちゃってるっていう。(笑)
下津曲:最初に正解を出しちゃったんですね。(笑)
田島:また今回はメンバーの似顔絵も描いていただきました。似顔絵は難しくありませんでしたか?
ネゴ:メガネという共通項があるから、意外と本物とは似せやすかったね。 田島さんはちょっとまるっとしてて、下津曲さんはちょっと細長いというか。 ……というか、すごい名前だね、「下津曲」って。「しもつまがり」。 「しもつ」で終わんないんだね。そこからまだ3文字ある。(笑)
下津曲:たしかに、長いと思います。(笑)
ネゴ:苗字を伝えるときに「俺、まだ喋ってる」って思うときない? 「ねごろがわ」って伝えるとき、自分で言ってて「なげぇな」って思うもん。(笑) (※ネゴシックスさんの本名は、「根来川 悟(ねごろがわ さとし)」さん)
大喜利後のフリップがおもしろくて。
下津曲:そういえば、トップページの左下にいるキャラ「ひだりしたくん」は、ネゴシックスさんの他の作品でもよく見るような……。
田島:ネゴシックスさんのサイトのギャラリーページで見るとよく分かりますけど、一時期の作品にはほとんど全部にひだりしたくんがいるんですよね。(笑)
ネゴ:今は変なモンスターを描いてることが多いけど、2年前くらいまではよく描いてたね。 当初入れ始めた理由は、イラストの内容にひだりしたくんがツッコんでるというイメージで描き始めたんだよね。キャプションでボケる代わりに、ひだりしたくんがツッコんでるみたいな。
田島:なるほど。じゃあ、基本的にそれらの作品は「ボケ」なんですね。
ネゴ:そうそう。だいたいどれも変なワンシーンを切り取っていて、それにツッコんでる。 例えばこれだったら、左の白い「ぬの袋」がデカいチューチューを飲んでる。
田島:ほんとだ。言われてみるとかなりシュールですね(笑)
下津曲:もともとこういうスタイルで描かれていたんですか?
ネゴ:ライブで大喜利をやるとき、お題に対してイラストで回答するケースが多いんだけど、以前、ライブの終わりに大喜利後のフリップが落ちてて、そのイラストを見ただけで面白かったのよね。……ってことは、イラストをしっかり描き上げてそれにツッコミを入れたら、それだけでちゃんとおもしろいのかなって。
下津曲:へぇ! そんな偶然から始まったんですね。
きっかけは「ブログ」と「名刺」。
下津曲:そもそもの話なんですけど、僕はお笑いが好きで中学生の頃に「エンタの神様」というバラエティ番組でよくネゴシックスさんのネタを観ていて、その頃からすごく好きだったんです。あのフリップ芸とか、たくさんの小道具を使ったネタとか。 ……なので、実はいまこの瞬間もすごく不思議な気持ちなんですよね。 中学生の頃の自分に「大人になったら、テレビでいつも観てるネゴシックスさんと一緒に仕事できるようになるぞ」って伝えたいです。(笑)
ネゴ:へぇ〜、それはありがたい。やっててよかった。(笑)
下津曲:そこから数年経ち…。 直接イラストを描いてもらったのは、僕の個人ブログがきっかけでしたよね、たしか。 この記事でネゴシックスさんと直接お知り合いになれたことをきっかけに、僕が学生時代に立ち上げたメディアのロゴデザインなどもお願いするようになったんですよね。 (参照:芸人・ネゴシックス(NEGO6)が手がけるキャラクターデザインがめっちゃハイレベルだった)
ネゴ:あぁ! そうそう、これね。 これは、僕がイラストを描き始めて3年くらい経った頃だったんだけど、「すげぇ、しっかりまとめてある!」と思って。 僕も描きながらいろいろと思うことがあったから、そのことがまさに書いてあって、嬉しいなあと。ボロクソにdisってる記事だったらどうしようかと思ったけど。(笑)
下津曲:いや、まさかそんなことはないです。(笑) おっしゃる通りで、この記事はまさにネゴシックスさんの活動から感じ取ったことを書きました。 芸人さんの中には多才な方が多いので、もっと「お笑い」以外の方面での才能をアピールする方法はあるんじゃないかと思って。
ネゴ:「お笑い」って舞台やテレビだけでやるものじゃなくて、「おもしろいもの」自体は他のフォーマットにも落とし込めるなあと思って。だから、こういう動画とかも作ってみたりとか。
ネゴ:……みたいなことを自分でいうのもアレだな〜、と思ってた頃に、ちょうど書いてくれてる人がいて「お、やった」って。(笑)
下津曲:ちょうどいいタイミングだったんですね。(笑) 実はこのブログ、吉本興業の新卒採用の一次選考直前にカフェで書いてたんです。
ネゴ:へぇ!
下津曲:たしか、イベントみたいな内容の一次選考でした。 ブログを書き終えた後に、そのまま会場に向かったんですけど、公開直後からアクセス解析でリアルタイムで多くの人に読まれているのを見て、「正直ここにいる誰よりも、今、『お笑い』に貢献してるからな」って思ってましたね。めちゃくちゃ生意気ですけど。(笑)
ネゴ:いやでも、ほんと、そういう風に芸人の活動を客観視できる人がマネージメントに携わるべきだなと思うね。そうじゃない人がマネージャーだったりする可能性もあるから……。
下津曲:どういう人が多いんですか?
ネゴ:……なんか、「ラグビーマン」みたいな人が半分、ひょろひょろっとした謎な人が半分。(笑) 選考基準がまったくわからない。(笑)
田島さんとのきっかけは、たしか名刺とサイトのイラストだったよね。
田島:はい。前職のカヤックという会社では名刺の自画像を好きなイラストで作っていいというルールがあったんです。 ちょうどそのころ、下津曲がちょくちょくネゴシックスさんにイラストを依頼しているというのを聞いていたので、いい機会だなと思いネゴシックスさんにお願いしたんですよね。
ネゴ:うんうん。すごいよね、その制度。
田島:名刺ができあがるとすぐに、社内の日報で「ネゴシックスさんに描いてもらいました」と送ったんです。すると、いろんな人に「それいいね!」と言ってもらえて、嬉しかったですね。 名刺に描いてもらったイラストは、カヤックの社員一覧のページに並んだときにも一人だけテイストが違っていて目立つので、今でもすごく気に入ってるんですよね。
他には、個人で制作していた「THREE SIZE」というサイトのイラストも描いてもらいましたね。
ネゴ:あー、これこれ。このサイトもすごくいいよね。 「お笑い芸人じゃなくても、こんなにおもしろいことがネットでできるんだ」と思ったもん。良い意味で、めちゃくちゃしょうもないけど。(笑)
田島:たしかに、完全に「おもちゃ」みたいなサイトですね。(笑)
「解説」で、作品をより好きになる。
ネゴ:サイト制作って、どんな感じで進めていくんですか?
田島:このコーポレートサイトを作るにあたっては、まず自分たちの好みに合うデザイナーやイラストレーターを集めるところからはじめました。
下津曲:だいたい3週間くらいかけて4〜50人くらい集めましたね。
田島:そこから精査して絞っていくフェーズに入りました。まず10人に絞って、次は5人に…。そこからすごく悩みましたね。その段階ではもう、イラストに対する好みの問題になってきていたので、好きな順に並べてみたんです。そしたら、唯一お互いのTOP3に入っていたのがネゴシックスさんで。
ネゴ:おぉ! 2票もらった。優勝だ。(笑)
田島:やっぱり、これまでに何度か制作のやりとりをしていて信頼関係を築けていたというのが大きかったと思います。
ネゴ:よかった〜。
田島:そこから制作に入っていくのですが……。 ふつう、Webサイトを作るときって、Illustratorのようなソフトで描かれたデータを使うことが一般的なんです。このサイトも、そのように作る予定でした。 ただ、最初の打ち合わせ時に、僕らがネゴシックスさんのギャラリーを見ていて特に好きだったイラストは、実はIllustratorで描かれたものじゃないということが判明して……。(笑)
ネゴ:(笑)
田島:どうやら、キャンバスに直接描いているらしいと。(笑) もちろん、アナログでキャンバスに描く場合はIllustratorで描くより大変です。簡単に修正もできなくなりますし、手間も増えます。ただ、それは承知の上でどうしてもキャンバスの「味」をWeb上で再現したくて、そちらで描いてもらいたいなと思ったんですよね。 それから、キャンバスに描いてもらうことでオフィスとかにも飾れますしね。
ネゴ:…なんだろう、キャンバスにアクリル絵の具って、不思議とずっと見てられる感じがするよね。 丸みのある部分も、コンピューターで描かれたものじゃないぶん、退屈じゃないというか……。例えば、うさぎをIllustratorで丸く描くツールを使って描いてみると、こうなる。すげー丸い。
(※左がツールを使って輪郭を描いたうさぎ、右が手描きで輪郭を描いたうさぎ。)
田島:たしかに、「図形!」って感じの円ですね。
ネゴ:「なんか、ちょっと違うな」と思って。でも、円の部分だけ手描きにしたらかなり自然な感じになる。「なんだこれは?」と思って。(笑) 綺麗な円は、「どうせどの部分も全部綺麗なんだろ?」って思ってしまうからちょっと退屈に思えてしまうのかも。フリーハンドで描くことによって、何かしらの期待感が生まれるのかも。
下津曲:ネゴシックスさんはデジタルとアナログ両方で描いてらっしゃいますが、どちらが好きなんですか?
ネゴ:うーん……。手描きかなあ。自分の好きな線が描けた瞬間が分かりやすいよね。 例えばこのサイトのトップページだと、「ぬの袋」のこの足のまとまりがかっこいい。(笑)
田島:……細かい!(笑) やっぱり、こうして解説してもらうと気づいてなかった点がたくさんあっておもしろいですね。
ネゴ:そうそう。だから、自分が描いたイラストについて「ここがこうで〜」って解説するライブはおもしろいと思うんだよね。
田島:あ〜! たしかに、僕らもいまそうですけど、解説が入るとより絵を好きになるっていうのはありますよね。
ネゴ:解説っておもしろいよね。 イラストの展示会で作品についてお客さんに質問されたとき、「これはすごい晴れてる日の風景で、みんなうなだれてて……」って説明すると「そうなんだ! じゃあ、買う!」ってなることもあるしね。(笑)
田島:じゃあもう、全員に解説して回ったほうがいいですね。(笑) 作り手のメッセージ、思った以上に大事ですね。
ネゴ:特にイラストだと、全ての配置には意図があるしね。
下津曲:僕が寒がりだから、イラストの中でちょっと厚手のパーカーを着てるってのも……。
ネゴ:いや、それは知らねぇよ! (笑) でも、なかなか奇抜な色なパンツ履いてるよね。
下津曲:これは古着屋にしか置いてないやつですね。
田島:黄緑とパープルの組み合わせ、なかなかないですよね。(笑)
これだけずっと描かれてていても、未だにテイストの変化だったり、上達しているなという感覚はあるものなんですか?
ネゴ:それはめちゃくちゃある。 いま、たまたまこんなテイストで描いてるけど、もっと簡単に伝えられる方法があればそういう風に切り替えるかもしれないけどね。
下津曲:来年くらいにはピカソ風のテイストになってる可能性も。(笑)
ネゴ:ありえるね。(笑) 自分がこのスタイルに飽きてきたら。
田島:それはそれで楽しみです。(笑) 今後について、僕らは2人ともお笑いが大好きでずっと見てきたこともあり、ネゴシックスさんをはじめ、いろんな芸人さんと一緒に活動できたらめちゃくちゃ楽しいだろうなと思っています。
ネゴ:Webを使って何かおもしろいことを一緒にやりたいって人、いっぱいいると思うよ。今後がとても楽しみだね。
下津曲:そうですね! 今日はどうもありがとうございました。「サイトの裏側」についていろいろとお話ししましたが、ネゴシックスさんにも、僕らも気づけなかったイラストの「裏側」を解説していただき、多くの発見がありました。
田島:ありがとうございました。
ネゴ:ありがとうございました。